近年、5Gやモノのインターネット、AI、クラウドコンピューティングなどの新技術の台頭に伴い、関連産業サプライチェーンの需要が増加している。今年、新型コロナウイルスが世界中に広がり、経済活動の停滞が見られる中、リモートワークが増加し、在宅勤務やリモート教育の需要が増えたことで、サーバの販売増加にもつながっている。
2019年7月15日、経済部統計処公表の最新統計によると、「コンピュータ製造業の生産高」は6年連続で増加しており、NT$ 1,895億に達した。 その内、主な成長源となっているのはサーバで、生産高は前年比210.9%増のNT$942億に達した。
5Gにより多様なインテリジェントアプリケーションが生み出される一方、データ量が膨大で、且つ全てをクラウドへ転送するとなると、5Gの持つ高速・低遅延特性のメリットが薄れてしまう。そこから、エッジコンピューティングが誕生した。エッジコンピューティングは、ハードウェアや設置する環境の違いにより、サーバに求められる規格も異なる。また、コンピューティング能力の向上に伴い、空気で冷却していた従来のサーバがボトルネックとなるため、今後は液浸冷却サーバの開発が進んでいくと見られる。
また、米中貿易摩擦の継続と、台湾政府が推進する台湾企業の台湾回帰投資促進プランにより、産業移転の新たな波が押し寄せている。Supermicro、Quanta、ASUS、Inventec、Deltaなどが相次いで生産ラインを台湾に戻しており、その他の台湾企業も東南アジアやインドなどの第三国への移転を進めている。
例えば、世界第4位のサーバブランドであるSupermicroは、10年以上前から液浸冷却式製品の生産を開始し、現在のところ生産能力が最も高いのは米国で、その後ろを台湾、オランダと続いている。2019年には、データセンター事業者がアジア企業のデジタルトランスフォーメーションニーズ開発に注力していることに商機を見出し、5G、AI、IoT関連の巨大なビジネスチャンスを掴むため、生産ラインを台湾に戻し工場を拡張させた。それにより、アジアの顧客により近いところから製品を供給することができ、また工場を台湾に戻すことで雇用促進にもつながり、直接採用だけでなく、桃園にある学校とともに就業力育成支援を行い、より多くの人材の雇用につなげている。
新型コロナウイルスが発生した当初は、生産ラインで原材料不足がみられたものの、Supermicroはサーバ・ビルディング・ブロック・ソリューションという技術によって、顧客への製品供給を柔軟に行うことができている。また、新型コロナウイルスの影響により供給面で混乱が見られたため、在庫量の引き上げも行っている。
Supermicroの副社長兼台湾総経理である劉慶明氏はDigitimesのインタビューに対し、「米中貿易摩擦と新型コロナウイルスがもたらした最悪の事態はすでに過ぎ去っており、今は顧客ニーズを満たすことに全力を注いでいる」と述べている。
クラウドコンピューティングは、情報技術のニューノーマルと発展基盤として、5G時代において技術的に重要な役割を果たし続け、またクラウドサービスのリースが企業のデジタルトランスフォーメーションのトレンドとなることで、クラウドサービスの需要が急増し、それがサーバ産業の成長を牽引する。今後のサーバ市場においては、データセンターが成長のカギになると見られている。
出所:経済部統計処、Digitimes